約 498,225 件
https://w.atwiki.jp/monsters/pages/53.html
この文章には流血表現や人によってはグロテスクと感じるシーンが含まれています。 鉄錆の街 1 1-656様 普段は山で暮らすヨツヅメペリパは、秋になれば食物を求めて彷徨う。この死んだ街へと迷い出てくることも稀ではなかった。 鉤爪のある無数の脚を持ち、全体的にはゴカイの類に似て見えるが、図体は熊よりも大きい。肉であれば人も獣も区別せず食らうこの捕食者に襲われて死ぬものは多い。 だが、今はそのビロウドの如き皮膚は裂け、緑の体液を流している。 対峙する男も又、人間には見えぬ。逞しい体は銀灰色の剛毛で覆われ、顔は鮫めいて獰猛である。黒い毛が隈取りのように眼鼻を縁取り、厳つい顔をさらに凶悪に見せていた。 体液を撒き散らしながら、怪物はあぎとを鳴らし、粘液の糸を吐き出した。そいつを身を捻ってかわし、続いて体当たりを紙一重で回避して、脇腹に剣を振り下ろす。ぎょおうっとなんとも言いようがない悲鳴が上がり、さらに体液が飛沫いた。闇雲に振り回される脚をおそれて距離を取り、男は改めてその様子を観察する。 傷つき怒り狂ってはいるが、異形の生命力は強く、数本脚を落とした程度では大して弱った様子もない。男はひとつ舌打ちをすると、身を翻して駆け出した。 獲物を逃がすまいとして、ペリパは全速力で後を追ってきた。鉤爪がアスファルトを削り取る。速度でははるかにこちらが勝るが、撒くのが目的ではない。うまく付かず離れずの距離を保ち、目的の場所へと誘導を試みる。 そこは半壊したビル、瓦礫に足を取られればそれで仕舞だ。否応なしに速度を下げた男の襟首に、獲物が近付いて歓喜した怪物の呼気がかかる。 「甘いんだよ、バカ野郎!」 獰猛な笑みを浮かべ、男は最後の距離を跳躍する。踏み出したペリパの足もとががらがら崩れ落ち、巨体が粉塵の中に消えた。落とし穴である。知性のない動物の悲しさ、最古の罠にも簡単に引っ掛かってくれる。脱出の隙を与えず、もがくそれの首の後ろを力任せに刺突。神経節を破壊され、ペリパは瞬時に絶命した。 遥か昔、人間が世界の王として栄えた時代があったという。翼に頼らず飛び、ヤジリネコより速く地を駆け、果ては空の彼方、星々の世界へと旅をする者がいた、そんな時代。しかしそれも今となっては伝説でしかない。今や人間は数多のけだものに追われ、惨めに地を這いまわる獣に過ぎぬ。 殆どの人間が怪物を恐れ姿を隠す中、この男の様に、狩られる立場から、狩る側へとならんとする者達がいた。しかし相手は人間よりはるかに強靭、容易に屠れはしない。数多の犠牲が出る中で、狩人たちはいつしかより強大な力を得んと、異形の体の一部を己が身に移植するようになった。 異形共は形も大きさも千差万別、何故かれらと人間の間に移植が成り立つのかはいまだ解明されておらぬ。声を潜めて囁かれるところによれば、怪物達もまた、かつて力を求め、おぞましき外法に手を染めた人間のなれの果てであるとのことだ。 その説の真偽はともかくとして、移植は今では普通に行われている手術の一つである。需要があるならば供給が生まれるのは自然な流れ、移植パーツを売り買いすることは、人々の間では常識となっていた。 こいつは比較的傷みにくい動物だが、解体は早いに越したことはない。時間が経てば経つほど鮮度が落ち、ひいては買い取り価格も落ちる。必死こいて持ち帰ったパーツがタダみたいな値段で買いたたかれるなんて事にもなりかねない。 まず高価なのが粘液腺、顎の脇にふたつ。次に高いのは顎、内部構造まで残っていた方がいい。面倒なので頭ごと切り落として持ち帰る事にし、胴に移る。4本の鉤爪はそこそこの値がつくが、胴体の皮膚はずたずたに引き裂いてしまったのでもう使いようがないかもしれん。 全身の体毛を体液で濡らしながら巨大な鉤虫の骸と向き合っていたところ、ふと妙なモノが目に留まった。粘り気のある銀の糸に包まれた塊である。ペリパは粘液の糸で獲物を絡め捕り、安全な場所まで運んでから喰うという。つまりこれは怪物の今宵の晩飯なのだ。 よくもまあ、あの騒動の中踏みつぶされずに残っていたものだ。中身が売れれば儲け物だと、つつみを切り開いてみると、そこには―― 柔らかな栗色の髪。桜色の唇はぎゅっと噛みしめられ、眉は今にも泣き出しそうに歪められているが、そんな表情を浮かべていてもなお愛らしい。気を失ったままに獣人に伴われて来た少女は、瘴気漂う鉄錆の街にはおよそ似つかわしくなかった。 「おやァ、ケルビーノ。隠し子かい?」 「いねェよそんなもん。拾いもんだ」 エビに似た触角を震わせつつ、そうだろうねえ、あんたの子にしちゃ可愛すぎると部品商人の老人は呟いた。 「そいつの事はどうでもいい。幾らになるんだ、早くやってくれ。帰らにゃならん」 命がけで狩った獲物だ、安く買いたたかれてはたまらない。ケルビーノは牙を剥き出して見せる。 「で、その子はどうするの?売るのかい?」 その顔が一瞬虚を突かれたような表情を浮かべる。 「・・・買うのかよ?」 「ま、仕事だからねェ。女で、若くて、しかもこんなに可愛い子と来たもんだ。部品にしようが丸ごと売ろうがそりゃァいい値が付くってもんさァ」 商人はキチキチと外骨格を鳴らして笑う。ケルビーノは一瞬鼻面に皺を寄せ、牙の間から唸るように言葉を吐いた。 「売らねえよ。まだそこまで腐っちゃいねえつもりだ」 「それは残念・・・」 俗説は意外と正しいのかもしれないと、ケルビーノはたまに考える。特に今日のような話を聞いたときには。狩人達は怪物と戦い続けるうちに、肉体のみならず心までも、本来敵である異形と同じくしているのではないか、と。 「どうするかね、これから・・・おい、そいつはおまえのメシじゃねえ」 いつ頃からか部屋に居着いているアカゲケダマが、新たな人間に興味を示したのか、少女の首筋の辺りに触角を寄せ、熱心ににおいを嗅いでいた。大きめの猫程度の大きさしかない、この縫いぐるみのような動物にさえ引き裂かれてしまいそうな娘。 勢いで連れ帰ったはいいが、いかにもひ弱そうなこいつを養い育てていく自信はない。かといって放り出せば、野獣なり盗賊なりの餌食になるのが落ちだ。それでは売り払うのと何も変わらない。全くとんでもないモノを拾ってしまった。 「まあ、仕方がねえやな。これもなんかの縁だ」 幸いもう一人くらいならば養っていける程度の蓄えはある。とりあえず今は目の前にある問題を片付けねばならない、どこかにもう一組位布団はなかったか。 元が何だったかも分からない腐敗物を捨て、山と積まれた食器類をひっくりかえす。落ちてきた金属片に頭を直撃されたケダマが、小さく威嚇音を立てた。 「――――!!」 「うおぅ!」 ゴミと向かい合っていた為、背後の気配に気づくのが遅れた。聞きなれない響きの悲鳴が上がると同時に、枕元に置いていた古いランプが重力に逆らって飛翔してきた。ケルビーノは驚愕しつつも見事な反射神経を見せ、それを受け止める。 「×××!××!」 顔を紅潮させ、震えながら早口で何事かを捲し立てる少女。聞いたこともない言葉なれば、向けられた敵意の出所を知る事もできぬ。 「何だってんだよ・・・」 ケルビーノはただ嘆息する。本当に、とんでもないものを拾ってしまった。 鉄錆の街に雨が降る。街を覆う砂塵を溶かしこんで滴る雨滴は、タールのような色合いを見せてコンクリートに染みを作った。 人間には煮沸せねば飲めないそれも、怪物どもには天の恵みであるらしい。この季節には湿り気に頼って、本来水棲の異形たちが人間を喰らわんとして町の近くまで足を伸ばす。 背に刺さる視線を感じながら、ケルビーノは外を眺める。雨はいっかな止む気配を見せぬ。いかに狩人とはいえど、雨降りしきる中に出ていくのは躊躇われる。一つ溜息をつき振り返れば、ケダマを抱いた少女と視線がかちあった。少女は驚いたような表情を浮かべて後ずさり、きつく抱き締められたケダマがぎいっと啼いた。はじめの頃程の敵意は見せなくなったものの、全くこちらに気を許した様子はない。 「別に取って喰いやしねえよ」 その低い声に少女はさらに表情を強張らせた。やれやれとかぶりを振り、ケルビーノは再び窓の外に視線を戻す。ずっと西の方に、雲の切れ間が見えた。雨が上がり次第出て行こう。 びゅうと長い舌が伸びた。鈍重なアブラガエルの体の中、ここだけは別の生物のようにぬめぬめと動く。 だが、あまりに単純な動きだ。狙った一点に命中させることしかできないのだから、頭の向きにさえ注意していれば回避も破壊もさほど難しくない。伸びきった一瞬剣を振るえば、舌は寸断されてどさりと地面に落ちた。 「げっげっげっぐ」 短くなった舌を巻き戻しながら蛙がうらめしげに鳴いた。その姿はさながら巨大な蝦蟇、不意にその背が大きくわななき、毒腺から油のような毒液を噴出させる。 「ちっ、目くらましかよ!」 液体は霧のように散布され、ケルビーノは咄嗟に顔を庇う。機を逃さず、どさっと重たげに跳躍してアブラガエルは逃走を開始した。 「逃がすか!」 なるほど跳躍力は大したものだが、騒々しい足音を聞けば逃走経路は丸判り、くっきりと血痕も残っている。後を追うのは簡単・・・「ぐぎょおおぉぉ・・・!!」 両生類の断末魔の咆哮に思わず足が止まる。何事かと驚愕する間もなく、蛙の屍を口吻に突き刺して巨大な昆虫が姿を現した。 「嘘だろ、おい」 昆虫の無機質な複眼がこちらを見据えた。強者の余裕なのか、悪名高きその異形は捕脚に自分より大きな獲物を抱えたまま、それを引きずりながらのんびりと歩を進める。 九重虫。騒動と血の匂いに惹かれてやって来たに違いない。貪欲で獰猛なそれと戦闘になれば、今の装備では対抗する術がない。 見逃してもらえる事を期待し、ケルビーノはじりじりと後ずさる。虫は餌食の体液を啜りながらしばらくそれを眺めていたが、突如ひょいという具合に口吻を引き抜き、とことこ歩み寄ってきた。 たちまち彼我の距離が縮む。目の前に迫った虫の複眼、それに映る己の姿。何に興味を持ったのか、九重虫は首を傾げると、「!」 鎌状の捕脚を伸べて彼を引っ掛けようとした。 ケルビーノは全速力で駆けだした。翅のある相手に速度で敵う筈はないが、建造物にでも逃げ込めればなんとかなるかもしれない。 だがその行動はさらに虫の関心をひく結果となり、九重虫は興奮に複眼を煌めかせ、再び鎌をふるった。 しくじった。命があったのだから、むしろうまくやったのか。 脇腹と背に深手を負い、ケルビーノはよろよろと街を歩く。鮮血が止血帯を染め上げ、布から溢れた分が膝を伝い下りていた。降りしきる雨が即座に赤い足跡を洗い流す。 杖代わりにしていた剣に縋ってしばらく息を整えた。雨滴が容赦なく全身を打つ。それは毛皮に浸透し、着実に体温を奪っていく。なんとか気力を呼び起こし、歯を食いしばって首をもたげた。部屋の明かりが見える。ここで死ぬわけにはいかない。 体を引きずるように階段を上り、帰りついて少女の顔を見た瞬間ぐらりと視界が傾く。倒れたのだと気づいたのは顔に床の感触を感じてしばらく経ってからだった。体を起こそうにもどうしても腕に力が入らない。 「××!×××!!」 少女の声が遠くで聞こえ、体が強く揺すられる。そういえばこいつが俺に触れたのはこれが初めてではないか。場違いな考えが頭に浮かんだ。 傷の痛みも濡れた体もすべてが遠くのことのようで、今はただひどく眠い。 ケダマがついと寄ってきた。人間共の様子には頓着せずに傷の周りを嗅ぎまわり、床に流れた血を見つけると、乾き始めたそれを少し舐めた。 ケルビーノは苦笑する。 「おまえ、喰うのか、俺を?」 出したはずの声は吐息にしかならず。 傷に鈍く響くような痛みが戻っている。心地よい感覚ではないが、痛みさえしないのに比べればましには違いない。いやに重い瞼をこじ開けると、眼前にやわらかな髪の毛があった。 「・・・な」 少女は胸の毛に顔を擦り寄せ、微かに寝息を立てている。か細い体のぬくもりがどうにも気持ちを波立たせ、起こさないように体を離し、寝返りを打った。傷口がじくりと痛む。よく見ると包帯が新たなものに変えられていた。まさかケダマの仕業ではなし、やはり少女の手によるものだろう。 それから数刻、背後に身動きする気配があった。細い手がそっと背に触れ、包帯の上から傷をなぞる。 「起きてる、構うな」 声に指がぴくりと反応したが、結局掌は離れぬまま背を撫で続ける。 「××××・・・?」 いたわるような声の響き。その顔に涙の跡を見つけ、申し訳ないような気持ちになった。 「構うなって、元から大した事・・ッ」 「×××!」 身を起こそうとしてついた腕の力がかくりと抜け、無様に体勢が崩れる。慌てて支えに来た少女の頬に新たな滴が伝っていることに気づき、再び心のどこかに波が立つ。 自分で気づいていないのか、少女は涙を拭いもしない。触れるべきか触れざるべきか散々迷った挙句、ケルビーノは手を伸ばすと少女の頬を乱暴に擦った。その手を握って顔に押し当て、少女は黙って涙を流す。 「いや、すまねえ・・・悪かった」 何が悪かったのかよく分からないが、なんとなく謝らねばならない気がする。嗚咽する少女の背を不器用に撫でながらケルビーノは天を仰ぐ。 怪物ならばいくらでも相手をしようが、すすり泣く、しかも言葉の通じない娘の相手はこの男には荷が重いのだった。 それから数刻。泣き疲れた少女は眠りにつき、ケルビーノはその寝顔を見ながら悪態をつく。 「何だってんだよ畜生」 この娘と向き合っているとなぜだか落ち着かない。それなら離れればいいようなものだが、枕にされてしまった為にそういう訳にも行かないのだった。 可能な限り顔を背け、無理に目を閉じるも寝息が入眠の邪魔をする。 「ち」 舌打ちを一つ。ついに眠るのを諦め、柔らかな感触をつとめて無視しながら夜明けを待つ事にしたケルビーノであった。 ↑・→ 名前 コメント すべてのコメントを見る タグ … 人間♀ 獣人 非エロ
https://w.atwiki.jp/monsters/pages/111.html
クレイとアリシア 2-498様 なあ、お前。ブン殴られた事ってあるか? ケンカをやったことがある奴なら多分わかるだろ。アレだ。 特に顔面をやられるとやばい。頭がクラクラするし、歯も欠ける。下手すりゃ死ぬ。 そうでなくても、殴られた後は青あざやら内出血で酷いもんだ。 シロウトの殴り合いだってコレだよ。もっと早く、スマートにぶん殴れる技術を持ってる奴からやられるとさ、ほんのちょっとだけ違うんだぜ。 今のオレがそう。 硬い拳が鼻面へ叩きつけられる。そうするとそこからから後頭部へと一瞬で衝撃が抜ける。まるでペシャンコになって鼻と後頭部がくっついたような感触だ。 その後ゴツンと鈍い音を聞く。頭ン中からね。そして耳や目から、何かが勢い良く飛び出すような、そんな嫌な感触。最後に、目の中に火花が散って、酷く焦げ臭いような、血の鉄くさいような臭いを感じる。 痛みを感じるヒマなんてない。その一撃で体の自由が奪われる。平行感覚が失われる。 言うことを聞かない体を動かそうにも、うまく行かない。たとえるなら、重く粘り気のある水の中でもがいているような感じだ。もしも水銀の中でもがいたならば、こんな感じなのかもしれない。 浮いた脳ミソがなにやら警告を発する。あらがうことの出来ない浮遊感。 オレをぶん殴ったのは、この酒場に雇われてる殴り屋で拳闘士崩れのケイナス(犬っぽい種族)だ。ちょっとケンカしたくらいでぶん殴りやがって。同種族はやらねぇでオレだけかよバカヤロウ。 そう考える一瞬だか一時間だかがとにかく時間が流れ、オレはクソ汚い酒場の床の上に後頭部から崩れ落ちた。 「この薄汚ねぇ野良猫を捨ててこい!」 ヤロウ言ってくれるぜ。獲物を持ってたらてめぇなんぞ… そして、心のなかの負け惜しみすら最期まで言えず。オレは気を失った 「あの…大丈夫ですか?」 そんな言葉をかけられてクレイは目を覚ました。目を開けると、ちょうど右肩のあたりにエリン(人間っぽい)の少女が膝立ちして彼の顔をのぞき込んでいる。数の少ないエリンがどんな速度で成長するかはよくわからないが、知り合いのエリンの家族に当てはめて見ると、だいたい13~4位だと思えた。黒い髪に白っぽい毛のない肌。実に平均的なエリンの姿であった。 「大丈夫じゃねぇよ」 クレイは毒づき、上半身を起こした。駄犬にぶん殴られた鼻面が酷く痛む。顔を下に向けると生暖かい感触があり、かなりの量の鼻血が流れ出てきた。意識のないまま仰向けに転がされていたが、どうやら窒息はしなかったようだ。 どうやらかなりの威力で打たれたらしい。 痛みに顔をしかめながら周りを見回すと、どうやら路地裏のようだった。 酒場でケイナス(イヌっぽい種族)の拳闘士とケンカして一撃でノックアウトされ、そのままここに捨てられたらしい。 殴り合いには多少自信があったが、拳闘士崩れと素手でやり合うには分が悪い。。 「あいつめ、思い切りぶん殴りやがって」 クレイがもしもフィーリニア(ネコ科猛獣っぽい種族)で無かったら顔面陥没の重傷くらい負っていたかもしれない。 彼は舌打ちをし、ジャケットの内ポケットを探った。いつも薄い財布が無事な事を確認できて安心する。 「で、何の用だ?」 ややつっけんどんに少女に尋ねる。 「あの…だってこんなところで…」 「財布ならやらんぞ。オレが目覚めて残念だったな」 少女に皮肉を言って立ち上がろうとしたが、足によく力が入らない。脳震盪の後遺症はもうしばらくなおりそうもない。と言うよりも、そもそも自分がどれくらいここに転がっていたかも定かではないのだ。 「私物盗りじゃありません!」 「もの盗りじゃなかったらさっさと向こうへいけ」 「だから違います!」 クレイは、自分を助け起こそうとする小柄な少女の手を払うと、調子を整えながらたっぷりと時間をかけて立ち上がる。 「あの…お願い。私を…」 「なんだ?おまえ売ってるのかよ。ガキの癖にちょっと悪趣味過ぎるぜおい」 顔をしかめて少女を見る。小さい娼婦?に対する嘲りの言葉がいくつか思いついたが、言おうとする前に消えた。悲しげな表情をした少女の顔に、それを投げかける事は出来ない。 「…違うんです。私、娼館から逃げ出してきたんです」 うつむいた少女は、驚くべき事を言った。 「はぁ?」 クレイは思わず間抜けた声を上げる。 「あ…でもまだ私処女ですよ?」 少女の発した意味の解らない発言はどうでも良いとして、娼館から逃げ出した?しかも仕込み前に?クレイは頭を抱えたい思い出少女をみやった。 「父さんの借金の形に連れて行かれたの。父さんは首を括ったけれど、それでも許してもらえなかった」 「で、オレに助けろっていいたいのか?何でオレだよ。誰かエリンの連中を頼れ」 少女は潤んだ目をクレイに向ける。 「だって、逃げ出して初めてであったのがあなたなんですもの…それに、知り合いなんて居ないし」 「ダメだ。お前は娼館に連れて行く」 「そんなっ!」 すがりついてくる少女の後ろ襟をつかんで引きはがすとクレイは諭すように言う。 「最近オレはついてないんだ。面倒ごとにつきあうのはごめんだぜ。機会があったら抱きにいってやるから、おと…」 おとなしくしていろ。という言葉は、怒号と足音にかき消された。居たぞ!捕まえろ! 罵る声と殺気だった気配が暗い路地にあふれる。声の方向をみると、数人の男が暗い路地を駆けてくる。棒を持った者もいる。そのあまりの剣幕に、どうやら自分も無事にすまなさそうな雰囲気を感じる。 「おいおい、一体なんだってんだよ」 訪ねるまもなく、棒を持った男が殴りかかってきた。あわててしゃがんで避けた上を、めくらめっぽうに振られた棒が通りすぎ、建物の煉瓦を砕く。 クレイは立ち上がるついでにそいつの急所を蹴飛ばした。しゃっとした感触がし、蹴られた男は ぐえ と、いう苦しげな声とともに崩れ落ちる。いったいどんな痛みか想像に難くなかったが、そんなことにはかまっていられない。 「畜生っ!」 クレイは叫ぶと、少女を担ぎ上げて走り出した。全くもってついていない。毒づきながら彼は路地裏を走る。ビンを蹴飛ばし、ゴミ箱を倒し、がらくたを放り投げ、やっとのことで追っ手をまくことに成功した。 彼は手を膝について、どうにか呼吸を落ち着かせようと深呼吸をくりかえす。少女はほんの30キロ程度であったが、長時間担いで走るのはさすがに骨が折れる。 「おまえの、せいで、おれ、は、人生を棒に、ふったかもしれん」 ようやく言葉を紡ぐことが出来る程度まで回復し、少女に毒づいた。 「ごめんなさい」 彼女は土下座して謝る。ガス灯の明かりにつややかな髪が光った。 「ほら、オレんとこに行くぞ。それと、オレはクレイってんだ」 ため息混じりにそういい、少女を引き起こした。 「女を家に入れたのは初めてだよ。まあベッドにでも座っててくれ」 クレイの部屋は、他の男所帯同様に酷く散らかっていて、足の踏み場もないようだった。 新聞や雑誌、読みかけの本。衣類がそこかしこに放りだされ混沌とした雰囲気を作っている。彼はガス灯に火を灯すと、お湯を沸かし始める。 「クソ、なんだってんだよ。逃げる必要なんて無かったのにな」 雰囲気に飲まれてしまったのが良くなかったのだろう。今更後悔しても遅い。彼は落ち着かない気分を紛らわそうと、ヒゲをしごき、肩に耳の後ろをこすりつけた。 「…で、名前はなんて言うんだ?」 「…アリシアです」 アリシアね。クレイはそう言うと、椅子をアリシアの前に置き、前後逆向きに座った。 背もたれを両股で挟んで、さらに上に顎を乗せた格好だ。 正面から見つめると、彼女は目を伏せる。エリンの美醜はよくわからないが、彼女はどうなのだろう。エリンと言う種族は顔の表情で細かいコミュニケーションをとるというが、その意味も実を言えばわかり辛い。そもそも、この大陸ではエリン自体が少ない。海を渡った南方にある大陸に行くと、人口の7割がエリンというがあまり実感がわかない。 名前以外を聞くと、彼女はぽつぽつと答えてくれた。 「エリンも、あまりオレたちと変わらないんだな」 そんな感想をもちながら、時間が過ぎる。 「紅茶やコーヒーなんてしゃれたモンは無いが、まあこれでも飲めよ」 ちょうど切りの良いところでお湯が沸き、クレイは蜂蜜をお湯で割って干しレモンを浮かべるとアリシアに差し出した。 「ありがとう」 クレイはアリシアの横に座って、自分もその飲み物をすする。 「お前、これからどうすんだ?」 この先の重要な問題である。アリシアはわからないとだけ答え、カップから暖かい飲み物をすする。蜂蜜の甘さとレモンの酸味が口いっぱいに広がる。 「…おいしい」 この問題で深刻に悩んでいるのはアリシアだけではない。クレイも連中に捕まって酷い目にあわされる可能性があった。 「明日警察に行かなきゃな」 「だめよ…警察もみんなグルなんだって…娼館の人がいってた」 なるほどな。それは単なるはったりか真実だかは解らないが、向こうがそう言っているということは、何らかのつながりがあるのかもしれない。 「だが正直、ああ言う連中に関わるのはごめんだぜ」 アリシアは、考え込んだ様子でなにも答えなかった。クレイは額に手をあててしばらく考えたが、これもすぐに答えが出そうになかった。時計を見るとすでに一時を回っている。 クレイは今日何度目か解らないため息をつき、アリシアに背を向けるようにごろりと横になった。そろそろ、この街とおさらばだな。そんな予感がする。ただ、何にしても休まないわけにはいかない。 「とりあえずだ。まずは寝ろよ。しばらくかくまってやるから」 アリシアも、今日何度目かのありがとうを言い、クレイの背中に自分のせをくっつける。 一人用のベッドはやはり狭い。くっつきあった背中にクレイの体温を感じながら、アリシアはこれからどうするかをずっと考え続けていた。 衣擦れの音と、ベッドの揺れでクレイは目を覚ました。時計を見ると三時を指している。 (まだ二時間も休んでいない)心臓が大きく波打って、寝不足であることをことさらに強調する。鼓動にあわせて痛む鼻面を左手の掌でさすると、思った以上に腫れていた。 それにしてもベッドが揺れるなんて、とんだ寝相の悪さだなこのお嬢ちゃんは。毒づきながらアリシアの方を向くと、想像だにしなかった光景が目に飛び込んできた。 薄明かりのなか、彼女が裸で座っている。その怪しくも幻想的な後景に、クレイは目を剥き、次にあわてて飛び起きた。 「…ちょっとまて。お前一体何を…!」 「クレイさん」 アリシアが思い詰めたような表情でクレイの足にすがる。 「お願い…お礼は…私出来ることといったら体で払うしかないの」 「ままま、待て待て」 掌をアリシアにむけ、待てのポーズをしながら、クレイはこの上なく焦っていた。まだ助けるともいった覚えはないし、そもそもエリンの少女に迫られても困る。 「お願い…助けて」 懇願するアリシアの目に、並ならぬ覚悟が見える。クレイはごくりと唾を飲み込んだ。 「…つったっておまえ、さっき処女だって言ってたじゃねぇの。いくらなんでもそれはもらえねぇぜ」 全く、体は武器とはよく言ったものだ。しかし、迫られた時点もう既にクレイは詰んでいる。ここまでするアリシアを、娼館に連れて行けるほど彼は非常な人間ではなかった。 選択肢は彼女を助けるという一択だけ。無報酬で?いや彼女の体で? 無償で助けてやればいいさ、とクレイの頭のどこかが告げる。だが、この際に久々性欲を発散すればいいさ、との声も聞こえる。クレイは無情な人間では決してないが、同時に聖人君子でもない。彼は、人は欲望の前に弱いものさと心の中で呟き、解ったとアリシアの頬にふれた。 そういえば、エリンはどうやるんだろうな。アリシアが、布団の上をじりじりと移動し、クレイのひざの上に乗る。少しのけぞり気味のクレイの目を、彼女はその青い目でじっと見つめる。そして彼女は顎をあげ、目を閉じながらくれいの口元に顔を近づけた。 「やさしく…キスして」 二人の唇が触れ合った。クレイは目を閉じたアリシアを見る。余りにも近いため彼女の顔がぼやけて見えた。 暖かい。これがキスというものだろうか。エリンと違って、そこまで唇を上手く動かせないため、触れ合わせているだけな気がする。これからどうすればいい?そんな疑問が浮かんだ。種族が違えばそれの作法も違う。少なくとも、以前やったことのあるケイナスの女とは付き合い切れなかった。 (いろいろな作法を体験するか…。悪趣味ってのはそういうことだよなぁ) ある程度経験があれば、相手に任せてもいいだろう、だが、ここでリードしないといけないのは明らかにクレイのほうだった。 「…なあ、アリシア。"オレ達流" にやってもいいか?」 おずおずと尋ねてみると、アリシアが頷く。ここからはフィーリニア流だ。 クレイはアリシアの髪の匂いをかぐ。首から上をやさしく愛撫しながら髪を舐める。そして耳、頬。盛り上がっただけの鼻。毛のない肌はクレイが舐めると少し赤みを帯びる。エリンという種族はよほど肌が弱いのだろう。舌の突起で傷つけないように隅々まで舐める。 小さな唇を舐めると。アリシアは少し口を開けた。その隙間から舌を入れると、彼女はためらうようにその舌を舐め返した。少しだけの甘みとレモンが香った。 二人は不器用に舌を絡ませる。エリンの滑らかな舌の表面を、フィーリニアのざらついた舌が這う。クレイはそのまま彼女の口の中に舌を這わせる。牙のない、つるつるとした歯がある。アリシアも彼のキバに舌を這わせる。興奮に息が上がる。クレイはアリシアを押し倒し、首筋からむねにかけてを口と舌で愛撫する。まだふくらみきっていない乳房の突起を乳房ごと吸い、先端を舌で転がす。さすった腹部は余りにもやわらかい。 まるで壊れ物だ。 クレイの舌は、アリシアの肌に這った後を残しながら、もっとも敏感な場所へと下りていく。閉じた秘所の匂いをかぐ。発情した同属の女とはまったく違った匂い。彼はアリシアをうつぶせにすると、そのまま下半身だけを抱き上げる。うつぶせになったまま尻だけ上げた状態にさせると、始めてみるエリンのそこがあらわになる。 少しだけ毛の生えたアリシアの秘所は、少しだけ濡れた陰唇を露出していた。クレイはまだ肉付きの薄い双丘をこね回し、閉じた入り口と菊門を舐める。尻尾がないのは奇妙な感触だった。 尻尾の付け根は性感帯だ、エリンはどうなのだろう。そんな思いがあるかどうかはわからない。ただ執拗に撫で回し舐め回す。だんだんとアリシアの呼吸が荒くなっていく。クレイは、同属の女にはない入り口の襞を広げ、奥にまで舌を這わせる。陰核を包皮からむき出し、舌先でこね回す。そのたびに、アリシアはビクビクと体をはねさせる。 彼はアリシアのまたぐらに顔を突っ込んだまま服を脱ぎ捨てる。上着を放り投げ、ベルトを外し足を蹴ってズボンを下ろす。あっあっという、初々しくかわいいよがり声に興奮が高まる。 再び、うつ伏せから仰向けへ。クレイはアリシアの股を舐るのをやめて、その上に覆いかぶさり動きを止める。荒い息をつきながら、アリシアがぼうっとした目を開き、呆けた表情のままクレイを見上げた。 「これから、その…やるんだが…本当にいいのか?」 中断するなど、野暮でバカらしい行為以外何者でもなかったが、クレイ律儀に確認する。 こくんと頷く彼女が急にかわいく思えてくる。 「じゃあ、オレのも弄ってくれるか?舐めたり、しごいたり」 クレイが下になり、アリシアを乗せる。二つ巴の格好になりながら、二人は互いのものを愛撫しあう。アリシアは、恐る恐るクレイのこわばりを舐めながらも、下半身を彼に押し付け、快感をむさぼる。 「ちょっとまってくれ」 いくらぎこちない手つき口つきといっても、やはり感じるものは感じる。普通なら、ざらついた舌で舐めあげられるため、早々にやめて交わるところだが、タイミングを逸した上に、射精しそうになっていた。 クレイはふうと呼吸を整え、前戯を中断されて、少し不満げなアリシアを四つ這いにさせると、後ろに位置して両手で彼女の腰を支えた。 「そろそろいくぜ」 アリシアがごくりと喉をならし、ためらいがちに首を縦に振った。そしてクレイも覚悟を決める。 自分を彼女の膣口にあてがい、ゆっくりと挿入する。初めて体験する柔らかさに、クレイはたじろいだ。同族の搾り取るような収縮も、ケイナスの急角度にうねる感触もない。 ただ柔らかく暖かい。彼女の呼吸にあわせて収縮する沼にはまり、彼はもがいた。 だがまだ溺れてしまうわけにはいかない。 更に突きいれると、つぷんとした感触がほんのすこしだけあり、アリシアの腰が跳ねた。 「痛っ」 クレイは腰をとめた。今更ながらに彼女が処女であったことを思い出す。だが、アリシアはそれ以上何も言わない。彼を受け入れるために待っているのだ。 その様子が何となく解り、彼はまた腰を突き入れる。そこまで長大ではないフィーリニアの肉茎ではあったが、やはり体格差は無視できない。ゆっくりと傷をつけぬよう腰を前後させながら、かれの先端はようやく子宮口を叩いた。 アリシアのなかに自分をおさめきったクレイは、大きく息を吐き出し、耐えていたアリシアに背中から体を重ねた。そしてゆっくりと体を抱くと、その細い首筋を傷つけないように咥える。もう達してしまいそうだったが、それに耐えて腰を揺する。尻尾が立ち上がりつま先に力がこもる。かれはうめきながら腰をいっぱいに突き出す。細い彼の先が、アリシアの子宮口にはまる。その快感に抗しきれずに彼は一度目の精を放った。 アリシアの胎内に、暖かいほとばしりが染み渡る。ああと彼女は歓喜の声を上げた。だがクレイはまだ終わらない。硬くいきり立ったもので、膣内をかき回し責め立てる。細い先端は容赦なく子宮口をたたき、根本の棘が秘肉を引っかき回す。彼は歳もいかないエリンの少女の蜜壺に溺れ、のたうち回った。彼が精を放つ度に、アリシアは嬌声をあげ快楽に悶えた。久方ぶりの濃密な時間にクレイはこの上なく満たされる。これが報酬ならまあわるくないだろう。そう考えるくらいの余裕が出てきた頃、彼の快楽は、訪れるのと同じくらい早く引き始めた。 何時の間にか正常位で交わっていたようで、クレイの正面に、汗にまみれたアリシアの顔があった。汗の玉を舐めると、塩辛さと共に彼女の匂いを感じる。かれは始めたときと同じように、アリシアの体を舐め回す。今度はアリシアも彼を舐め返したが、あまり上手くいかないようだ。 「無理に舐めなくていい。手で撫でてくれ」 つながったまま、互いに上半身を起こし後戯を楽しむ。少なくとも、フィーリニアの男とエリンの女の組み合わせはわるくは無いかもしれないとクレイは思う。 「オレが安全な街まで連れて行ってやるよ。アテがあるのを思い出した。」 これは本当の話である。それに、街を出られれば相手もあきらめるだろう。連れ戻すというよりも逃げた彼女を見せしめにするのが多分目的なのだ。 「…ありがとう」 いいってことよ。彼はにやりとして腰を引く。ごぽっという音とともに、彼女の膣口から大量の粘液があふれ、シーツに新しい染みを作る。最期の余韻に浸る間もなくクレイはあわてて体をのけぞらせた。そしてはっとしたように、驚いて声の出せないアリシアに待てのポーズを送る。同族同士だと、引き抜く際に殴られる事がある。無意識に手が出てしまうらしい。青あざあるのは円満の証 とまで言われるくらいだ。 まあまあ、と照れ隠しをしながらかれはシーツに目を落とす。昨日まではなかった染みが広がるその中に、赤黒いものを見つける。それは処女を失った証だった。 クレイは、何故か彼女がたまらなく愛しくなり、もう一度抱き寄せた。 その後、二人は無事別の街へと逃げ延びることができた。 悪趣味と言われながらも一緒に住み、アリシアは給仕の、クレイは闘技士養成場の仕事をしているという。 ↑ 名前 コメント すべてのコメントを見る タグ … 人間♀ 和姦 猫科 獣 獣人
https://w.atwiki.jp/monsters/pages/155.html
新婚さん 3-470様 ごくりと生唾を呑み込むと、薄く開いた唇からは熱く湿った息が漏れた。 己の腕の中では、先程から顔を赤くした少女が精一杯腕を伸ばして、それでも巡り会わない両掌で背中を抱き寄せている。 早春とは言え、今年は比較的温かい。 先に流してきた筈の汗が、毛皮に包まれた熱に誘発されて滲み始めていた。おかげで、まだ抱き合っているだけだと言うのに、二人の身体は酷く熱い。 「ねえ、ルフ。暑い」 「お前のせいだ」 まだ十六になったばかりの少女は、なんでよう、と呻く様に言って、そのくせ更に腹に顔を埋め込む。縦も横も二倍程体格の違う二人は、抱き合うと、少女の頭は硬い腹の上部に埋まってしまうのだ。 見た目と色に反して、存外柔らかい毛並みに頬を擦り寄せつつ、ルフールの熱の心地よさに、これから先への期待に、溜息を漏らした。 「お前のせいで、俺も暑い」 狼の様な犬の様な、人間とは随分と形状の違うその顔では、キスをするには随分身体を話さなければならない。 前倒しにしていた上半身の姿勢を正して、大きく太い指で少女の顔をぎりぎりまで上向けると、背中を丸めて顔を向き合わせた。 「覚悟してろよ、美奈」 大きく平べったい舌で、遠慮も為しに首筋から顎をなぞった。 ぷると小さく震えた美奈の顎を、小さく開けた口であま噛みする。小さく開かれた小さな唇の奥に、舌を無理に押し込むと、舌の先端だけですっかり埋まってしまった。 「っう、ふ……!」 苦しそうな非難の息を聞き流して、小さな舌を絡めて嬲る。 美奈はそれに答えたかと思うと、舌先を絡めてもう少しルフールの舌を引き入れ、舌の裏側を舐めつつ、徐々にあま噛みしていく。息を詰まらせながら、懸命に愛撫しようとする美奈の姿に、それだけで快楽が生まれる気がする。 ヤバい、と息を止めたルフールは、突然に胸を摘むと、柔らかいそれをゆっくりと撫でる様に揉み始めた。 そうして無理矢理に舌を引き抜き、二人を繋ぐ唾液を巻き取る様にして、口の中にしまい込む。首筋に牙を押しあてて痕を付けると、満足そうに顔を歪めた。 「なんだか、ずるいなあ。私、ルフールにキスマークとか残せないんだよ?」 やわやわと触れる五本指に右手を重ねて、その動きを感じる。 するともう片方の胸の頂を摘まれた。 「にゃぅっ!」 「うるせえんだよ。ったく、恥ずかしいことぬかしてんな」 そのまま空いている片手を移動させ、既に潤んでいた陰部をするりと撫でてやった。 「ん、だって、ずる、い」 前後に動かしてやると、自分の指に重ねられていた掌と、ルフールの死角でベッドのシーツを掴んでいた掌とが、彼女の下半身を弄る大きな掌を掴んだ。 しかし、その動きを止めることは出来ない。ルフールはむしろ楽し気に指を前後させ、指先を僅かに沈めさせてみたり、一番上の出っ張りを撫でてみたりする。 「や、ちょ、っん、やぁ」 焦らす様な動きに、美奈の掌は、今度はルフールの掌を自分のそこに押し付けようと、引き寄せようとする。 「おいおい、我が侭なお姫さんだなあ?」 荒い息をなるべく静かに吐き出しつつ、ルフールはにやりと目を細めた。わざとそのまま続けて、柔らかに触っていた筈の掌で、胸を強く揉みしだく。 物足りない身体が、快楽を求めて感度を増す。 女唇が涎を垂らして、早く貪らせろと疼く。 心境の変化に対する羞恥と、それでも欲しい快楽に困惑した美奈が、ルフールに倒れ込む様にすると、ルフールはどうしたのかと手を止める。 「 て。もっと、ちゃんとして。気持ち良くして!」 目を見開いたルフールは、ああ、と愛おしさに目を細めて、直ぐににやりと笑う。肩を押さえ込む様に抱き寄せると、表面をくすぐっていた指を、ゆっくりと突き入れた。 途端に大声を上げそうになる美奈を抱き寄せて、身体で口を塞ぐ。 暫くそのまま遊んでいたルフールは、徐々に気になり始めた、手の動かしずらさを解決する為に、体位を替えることにした。とはいえ、二人はこれでも新婚でその上初夜である。ルフールは、なるべく妻の顔を見ていたかった。 一先ずに手を止めたルフールは、大きな両掌の人差し指と中指で、細く柔らかいわきを挟んで抱き上げた。 わざわざ余しておいた親指で、胸の頂を捏ねつつ、胡座を組んでいた脚を広げる。 その上に美奈を座らせた。 「な、っん……何?」 硬くなったそこを執念に責め立てられながら、わざわざ膝の上に乗せられた疑問を口にする。すると、自分を固定していた掌は、す、と下に降りて行った。 左手は腰を支え、右手は陰部に潜り込んで行く。 丁度良く脚を開かされた体勢だと気付いたのは、中に指が入ってきたからだった。 「んんっ」 大きな声が出そうな気がして、口を噤む。案の定であった声は、くぐもって口内に押しとどめられた。 「やっぱり、新婚さんはおアツイねえ」 ボロいとまではいかなくとも、このアパートは木で出来ている為、かなり古い建物であることは、一目にも明らかである。 その床から滲み出してきた、液体の様な生命体スライムは、顔の上部だけを形成した姿で、二人の濡れ場をじいと見つめていた。己の彼女を思い浮かべると、体中の気泡が口の辺りから溢れ出していくのが分かる。 「ツンツンもかわいいけど、たまには甘くヤってみたいもんだ」 本人に聞かれてしまえば、バカ!と顔を真っ赤にして叩かれそうだ。 一人想像して、そのかわいさに体温を上げたスライムは、ちらりと目前の二人に目を向ける。どうにかして雰囲気を作ってみよう、そう決意して、すうと床に染み込んでいった。 おわり ↑ 名前 コメント すべてのコメントを見る タグ … 人間♀ 和姦 犬科 狼 獣 獣人 !3-470 *人外アパート
https://w.atwiki.jp/2chmatome/pages/2.html
今後ここに小説置きまっす
https://w.atwiki.jp/iizisukunn/pages/18.html
小説一覧
https://w.atwiki.jp/789436/pages/129.html
どちらとも、ジャンルから入れます。 苦手な方は直ちにバックブラウザ。 コテハン・オリキャラ小説…現在二作品 名前の通りコテハン、オリキャラ小説を展示しています。 苦手な方はご覧にならないようお願いいたします。 (完結:なし 連載:一作品 停滞:一作品) リレー小説…現在一作品 白夜と他の氏との合作作品を展示しています。 お互いに交互に作成している為、進行速度はかなり遅いです。 (完結:なし 連載:一作品) TOPへ戻る。
https://w.atwiki.jp/erson/pages/11.html
サイトで連載中の小説のタイトルが書かれています。 リンク先のページから、色々とネタバレが書かれています。 ここでも言いますが、ネタバレが嫌な方は戻りましょう。 ポケモン小説系 「神」と「天使」と「殺し屋」と それでもいつかは、夢から醒める ポケダン小説系 色と世界の鎮魂曲 スマブラ小説 蒼き星と紅き世界 ミックスマスター小説 未定 リヴリー小説 未定
https://w.atwiki.jp/pokegaisyosetu/pages/26.html
小説「ホントに居たドラえもん」 小説 僕の生きる道 ハルヒSS書く 小説?「そうなのか?」 小説「クロニクル」 まさっちが書いた小説 パパの苦悩 GBA 魔法 小説「ラーメン」 リレー小説 黒牡丹の就職 涼宮まさちの論争 ゲノンが変態になりますた なちの失敗
https://w.atwiki.jp/sixyousetu1/pages/13.html
ここでは僕が考えた小説を紹介していきます。 いろいろ指摘やコメントを下さるとうれしいです まずは連載小説です。 題名【名無しからの手紙】 名無しからの手紙 名無しの正体 バイオ一族【衝撃の展開】 マエストロの町 まだ四作目しか書けてません^-^今から少しずつ連載していこうと思うのでよろしくお願いします!! 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/kurokage136/pages/821.html
▽タグ一覧 小説大会とは、小説カキコにある企画である。 夏・冬の特定の時期になると小説板の小説に投票ボタンが追加される。 この投票数で誰が上なのかを決める、ちょっとした大会であるら、 この時期のタイトルの変更はあまり推奨されず、完結すると特別に1票追加などある程度ルールはあるが、まぁ遊び半分で問題ない。 メイドウィン小説は過去にりりすたが銅賞、正義の悪役が管理人特別賞を受賞した。 ちなみに二次創作板は紙板も共有してる為、時々紙板だけ金賞取っていくこともたまにある。